FLORAL DIARY

イギリス買付日記・2019続きとお休みのお知らせです

とても良いと伺って、いつか行ってみたいと思っていたコッツウォルズのウィリアム・モリスの別荘「ケルムスコット・マナー」に行ってきました。モリスの装飾美術活動とモリス商会の事業展開の大きなきっかけともなった結婚後の新居「レッドハウス」と並び、室内装飾が当時のままに保存されていることで有名な邸宅です。4月から8月の水曜日と土曜日しかオープンしていないのでなかなかチャンスがなかったのですが、今回はちょうど良い日程を組むことが出来ました。

ケルムスコットマナーは、元々は、この地方の農場主であったリチャード・ターナーによって1570年頃に建てられたエリザベス朝建築でした。その後も繁栄を続けたターナー家によって維持、拡張されますが、1870年相続人により家は貸し出されることとなりました。

1871年、当時ロンドンで多忙な日々を送っていたモリスでしたが、一目でこの美しいライムストーンの荘園邸宅を気に入り、妻ジェインと2人の娘・ジェニーとメイと余暇を過ごす為の別荘として、ラファエル前派の画家であり詩人、そして、モリス商会のメンバーでありモリスが師と仰いだロセッティと共同で借りることにします。しかし共同別荘生活は長くは続きませんでした。

 

「妻を亡くし精神的に不安定になっていたロセッティの為に別荘をシェアすることを提案し、次第にモリスの妻ジェインとロセッティとの仲が深まっていったことに苦悩したモリスが共同貸借を解消した」とされていますが、実のところは、それ以前からロセッティの絵のミューズであったジェインとロセッティの関係は始まっており、スキャンダルを避けるための場所の提供でもあったようです。邸宅の美しさを考えると何とも哀しいお話です。

1874年、モリスから共同貸借の解消を申し出る手紙を受け取ったロセッティはこの地を去ります。

その後は、モリスの作品の出版者で友人であったフレデリック・スタートリッジ・エリスが新しい共同居住者となり、モリスは平和で幸せな日々を取り戻しました。モリス&カンパニーでの家具、織物、壁紙、ステンドグラスの製作監督、文筆業、政治的活動と、多忙なロンドンでの仕事の合間を見つけてはこの自然に囲まれた美しい場所に通うことは、モリスにとってかけがえのない喜びであり、彼の作品にも大きな影響を与えました。

 

彼の詩や散文の中にはテムズ川近くのコッツウォルズの風景が織り込まれ、織物や壁紙などの作品に多くの影響が見られます。またこの地方の伝統建築からも多くの影響を受けています。

1896年にロンドンで亡くなったモリスは、この地に葬られました。妻・ジェインは、ロンドンのハマースミスの邸宅(ケルムスコットハウス)を引き払い、そこにあった備品等を全てケルムスコットマナーに移したとのこと。それゆえに、今日私たちはハマースミスの邸宅にあったものも一緒に見学出来るようになっているという訳です。

ジェインは、病気だった上の娘ジェニーと共に、亡くなる前年の1913年まで居住しました。その後は、末の娘メイが相続者としてジェニーの保護者となり、自分の晩年を「ウィリアム・モリスの故郷ケルムスコットマナー」を維持してゆくことに献身したそうです。自身が亡くなった後も貴重な家具や収集物とケルムスコットマナーを後世に残す為、彼女はオックスフォード大学にモリスの記念館として地所を譲り渡す計画を立てていました。

利益追求のためではなく、芸術家、文筆家、学者や科学者の安らぎの場としてここが貸し出され、家具などの配置が乱されることがないようであれば要求に応じて一般の人々に公開されることを望んでいたそうです。

現在では、イギリスの骨董と歴史に関する学問と知識への奨励、推進、助成を目的として1707年に設立され、1751年に王室の勅許を受けた学術機関・ロンドン考古協会(the Society of Antiquaries of London)によって、保有、管理されています。これから2年間大掛かりな修復工事に入るとのことでしたが、古き素晴らしきものを後世に残そうとする人々の情熱には感動を覚えます。

長くなってしまったので、美しい室内のご紹介はまた後日にさせてください。

 

 

ケルムスコットマナー

Kelmscott Manor, Kelmscott, Nr. Lechalade, Oxon GL7 3HJ

開館は、4月から8月の水曜日と土曜日

オフィシャルページには、2019年9月から改装工事に入るとの記載があります。私が現地で聞いたところでは2年間かけて修復するとのことでしたので、開館日の変更があるかもしれませんので、おいでになる際にはこちらにてご確認ください。また、入場は時間制です。入口でチケットを購入すると入場時間が記載されています。私はタイミング良くすぐ入れたのですが、お天気の良い土曜日などは10時半に受付をして入場は午後というような事もあるようですのでオンライン事前購入を利用されたほうが良いかもしれません。

最後になりましたが、フローラルのお知らせです。

明日8月2日(金)~4日(日)までお休みを頂戴いたします。

ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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