FLORAL DIARY

鹿島茂コレクション・フランス絵本の世界

5月5日こどもの日、ゴールデンウィークもいよいよ残すところあと1日と少しとなりました。

のんびり過ごされた方もご旅行を楽しまれた方もいらっしゃることと思います。(もちろん私たち同様お仕事の方も!)

突然ですが、ANA国内線に乗りますとポケットに入っている機内誌「翼の大国」。私の2大ファンページは、「おべんとうの時間」と鹿島茂先生の「稀書探訪」です。

「おべんとうの時間」は、阿部了さん直美さんご夫妻が日本各地を回り、毎号さまざまな年代・職業をもつ方々の「おべんとう」を撮り集めた写真とエッセイ。書籍化され、ベストセラーとなっていますので、ご存知の方は多いのではないでしょうか。農家さんとか、漁師さんとか、電車やタクシーの運転手さんとか、船頭さんとか、サラリーマンの方とか先生とか、どれも普通のお弁当だけれど、愛情がたっぷり込められていて、その人の人生がギュッと詰まったような芸術作品だなぁと思って毎回とても楽しみにしています。

そして、私にはちょっと難しい鹿島茂先生の「稀書探訪」。知識のないフランス文学の古書のお話なので、勉強のつもりで熟読していたのですが、次第に古書の装丁や挿絵の美しさに引き込まれるようになりました。ページのデザインもいつもとても素敵です。昨年、群馬県の舘林美術館にて開催された「鹿島茂コレクション・フランス絵本の世界」展が素晴らしかったと母から聞いていたのですが、うーん、ちょっと群馬までは行けないなと思い断念したのですが、なんと今年白金の庭園美術館で開催とのこと。しかもこの新緑の季節に庭園もリニューアル工事後とのことで、少し前の事ですが、楽しみに行って参りました。

戦前パリに遊学され、様々な西洋様式を持ち帰られた朝香宮御夫妻の邸宅として、当時最新の建築様式によって、1933年に建造された旧朝香宮邸。1983年より東京都庭園美術館として公開されています。

邸内のデザインは、壁飾りから家具、照明器具にいたるまでアール・デコ様式で統一され、そのモダンな優美さは息をのむよう。玄関、大客室、大食堂、書斎などの主要部分の内装は、当時のフランスを代表する装飾美術家であるルネ・ラリックやアンリ・ラパンに依頼されました。基本設計を担当したのは、宮内省内匠寮の建築家だった権藤要吉。朝香宮邸は、近代西洋に憧れる日本人の思いを最高峰の技術と美意識で完璧に実現したものでした。

ラリックのガラス扉のエントランス。晴れた日の明るい光りも好きですが、雨の日のほのかさも好きです。

“幻の建築”、あるいは、”アール・デコの美術品”と称されてきた朝香宮邸は、後世に伝えるべき名建築として、2015(平成27)年に国の重要文化財に指定されています。

建築だけでなく、その時々で展示内容は変わりますが、朝香宮ご夫妻がお召しになった優雅なドレスや燕尾服、宝飾品やバッグなどを拝見出来るのもワクワクします。もっともっとじっくり邸内を歩きたかったですが、残念ながら時間がなく急いで新館へ。こちらで、「フランス絵本の世界」展が開催されています。

 

 

機内誌の誌面の印刷で見ても素晴らしく美しかった挿絵と装丁ですが、実際に至近距離で見る事が出来、その生き生きとした鮮やかさに感激しました。私の素人目には「フランスっぽい」と感じる不思議な色合いは、三色分解がまだ完全でなかったために生まれた色だそうで、現在では再現不可能なのだとか。

フランスでは、20世紀半ばまで、本は原則として、タイトルと著者名を記した地味な表紙をつけた仮綴じの状態で並ぶものであり、これを堅固な装丁に変えるのは、購入した読者の役割で、装丁屋に持ち込み、好みの革と見返しのマーブル模様などのデザインを選び、自分好みの装丁にしてもらっていたのだそう。本が高価なものであることはわかっていましたが、道理で素晴らしい装丁が施されているはずです。したがって、装丁されている本には一冊として同じものがないことになるのだそうです。

なぜこのようなことになっていたのかというと、中世において一同業組合(ギルド)・一業態の原則があり、紙を扱う書籍商組合と、革を扱う装丁職組合が別業態と認定されていたためだそう。横の繋がりがなかったのですね。ギルドの厳しい統制により各業態の品質は保持されましたが、権利を独占し排他的でもあったため、自由競争を求める市民階級の台頭とともにギルドは廃止を与儀なくされます。それでもなかなか崩れなかったのが本と装丁の関係でした。この伝統に最初に風穴を開けたのが1840年代に活躍したキュルメールという出版人で、革ではなく、箔押しした綿布を用いたカルトナージュという版元装丁で挿絵本を出版し流行させます。1789年のフランス革命から50年も経ってからのことなのですね。

この流行を一つのジャンルにまで高めたのがキュルメールの助手であったエッツェルでした。そこから「ガリヴァー旅行記」や「ラ・フォンテーヌの寓話」「ペロー童話集」など児童文学の傑作が誕生するわけです。これらの貴重な装丁本も実際に見ることが出来ます。「レ・ミゼラブル」の1865年版、1879年~82年版も実物を見られます!

絵本というともう少し可愛らしいものを想像していたという方もご安心ください。撮影可のスペースはほんの一部でしたので、写真は少ないですが、鹿島先生のコレクションは多岐にわたっており、20世紀に入ってからの人気作家によるものや、大人気を博したイラストレーターによる雑誌などもたくさん展示されています。

あ、随分長々と書いてしまいました。

「明日はどうぞ庭園美術館へ」ということではありませんでした( ;∀;)

明日は、鎌倉山・ハウスオブポタリーさんにてゴールデンウィーク中開催しておりました「英国展」最終日です。

私も鎌倉のフローラルはお休みをさせていただきまして、ハウスオブポタリーさんに参ります。ワンズワースさん、スワローテイルガーデンさんも在廊です。

明日も気持ちの良いお天気に恵まれるようです。のんびりとした気持ちの良い空気の流れる鎌倉山へぜひお出かけくださいませ。

House of Pottery Gallery

鎌倉市鎌倉山3-17-25

11:00~18:00

数台分の駐車場がございます

JR大船駅より京急バス4番にて鎌倉山下車 徒歩1分

JR鎌倉駅より京急バス6番にて鎌倉山下車 徒歩1分

 

 

 

 

 

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