2014年5月
Susie Cooper 2
Susie Cooper 1はこちら
前回からの続き
コントラストの強いビビッドな色使いと、抽象的な幾何学模様が特徴である、アールデコ様式。
柔らかくナチュラルで、自然の美を生かした作品のイメージのあるスージークーパーですが、Gray’s社時代を含め彼女の初期の作品は、このような典型的なアールデコ様式のものや、植物や果物でも色彩が鮮やかで力強いものが多くありました。
この幾何学文様は、8年間を過ごすことになるGray’s社においての1920年代の彼女の代表的な作品となりました。
1929年、ペイントデザインだけでなく、器の形のデザインも手がける事を希望していたスージーは、独立しSusie Cooper Potteriesを設立します。彼女はそのデザイナー人生において4,500パターンものデザインを手がけたと言われています。そして、数多くの独創的な器の形もデザインしました。下の参考写真は1932年に発表された代表的な形「Kestrel Shape」です。Kestrelとは小型のはやぶさのこと。自然をデザインに取り入れる彼女らしい美しいデザインです。アールデコデザインだけでなく、その後のドレスデンスプレイ、スワンジースプレイ、ガーデニアなどなど、たくさんの作品に取り入れられたデザインです。
幾何学文様、華やかな果物や花のペインティングと共に、この時代にスージーが発表したデザインに「バンドパターン」があります。これは、後の柔らかな色合いとデザインに移り変わっても、最後まで作品に取り入れられたパターンで、帯状に施されたペイントデザインです。
こちらは、1932年に発表されたWedding Ringと名付けられたバンドパターンのオードブルディッシュ。trefoil serving(三つ葉の器)とも呼ばれます。クリーム色に淡いグレーのグラデーションとグリーンのラインが美しく、取っ手のカーブも優雅でありながら無駄のない美しさです。このシリーズは、ジョージ5世の妃であるメアリー王妃が、1932年に開かれたイギリス産業博覧会に出展されていたものを大変気に入られ、バッキンガム宮殿用に大量に注文をしたことでも知られています。ロイヤルファミリーからの相次ぐオーダーにより、Harrods,John Lewis,Peter Jones,Selfridges,など名だたるロンドンの百貨店で取り扱われることとなり、1930年代後半には海外への輸出も順調で彼女のビジネスは大成功を収めるのです。彼女の作品は、「適正価格でありながら、趣味がよく、革新的で、機能的でもある」として広く人々に受けいれられます。これは、正に彼女が目指していたことでありました。
こちらはオンラインショップからご購入いただけます
ごめんなさい。また今日はここまでで。
鎌倉宮・万灯みたままつり
昨日の夕暮れ時、鎌倉宮の万灯みたままつりに行ってきました。
過去のいくさや災害で亡くなられた方々の鎮魂の為に万灯のろうそくが灯されます。
18:00の火入れでは日が残っていましたが、夜の帳が下り始めると、次第にたくさんのろうそくの灯りが見えるようになり、幻想的な雰囲気に包まれました。
そんな中拝殿で始まったのが、鎌倉出身のジャズボーカリスト牧野竜太郎さんと同じくボーカリストでギタリストのKaiさんによる鎮魂演奏。ひんやりとした空気とざわざわと揺れる木々の微かな音が気持ちよく、お2人の演奏はとてもとても格好よくて、贅沢な時間でした。
初めて聞いた「Caledoniaカレドニア」スコットランドの愛国歌だそうです。カレドニアは、スコットランドがローマ帝国の侵略を受けた頃の北方の地域の当時の呼称ですが、現在では、詩的で叙情的な意味合いで使われる言葉だそうで、ロマンティックな歌詞が不思議と鎌倉宮の荘厳な空気に溶け込んで一体となっていました。
鎌倉宮 みたままつりは、本日24日(土)も行われます。
18:00より火入れ式
18:30より琴の鎮魂演奏
Susie Cooper
スージークーパーって何ですか?とのご質問も多いので、時代を代表する陶器デザイナーであるスージークーパーを何回かに分けてご紹介して参りたいと思います。
スージークーパーは、1902年10月29日、7人兄妹の末っ子として、Burslem近くのStanfieldに生まれます。彼女の両親は、農場経営を含む不動産に関わる事業を営んでおり、幼少期の農場での豊かな体験が、草花や自然を愛し、それを作品に表現する彼女の作風に大きな影響を与えました。そしてビジネスの面においても、後に自らの会社を設立することとなる下地が作られました。

1910年当時のBarslem
1919年、17歳のスージーは、Burslem美術学校の夜間部に入学。翌年には奨学金を得て、フルタイムでの通学が可能となりました。ここでの師、Gordon Forsythとの出会いが後のスージーに人生に大きな影響を与えることとなります。 Forsythの薦めにより、更なる上級学校である、ロンドンのRoyal College of Artに出願しますが、職業経験がないとの理由から不合格となります。そこでペインターとして経験を積むべくForsythに紹介されたのが、彼女のキャリアのスタートとなるGrey社だったのです。 その後もスージーは進学の道は選ばず、Grey社にペインターとして残ることとなりました。当初の彼女の仕事は、与えられたペインターとしての仕事をこなすのみで、創造性を発揮する事が出来ず、社長であるEdward Grayにデザイン工程に関わりたいと直談判し、女性デザイナーMs.Samuelsのアシスタントとなるのです。数週間後、Ms.Samuelsの退社と共にスージーはそのままGray社のデザイナーとなったのでした。

c1928 Plate
今日はここまで。
スクラップブッキングとカルト・ド・ヴィジット
ヴィクトリア時代に流行したスクラップブッキング、あるいは手紙などに貼って使われた「スクラップピクチャーズ」。日本ではフランス語のクロモスと言われることが多いようです。鮮やかな色彩と手の込んだエンボス加工が特徴の糊のついていないシールようなものです。当時の少女や夫人達が、この夢のように可愛らしい紙を使って手紙やカードを作っていたことを想像すると、とても楽しくなります。
アメリカでは1980年代にスクラップブッキング作りが大流行し、編み物などと同じように手芸の一つとして現在でも大きなマーケットとなっています。ここ数年、もう少し前からでしょうか。カラフルな台紙やステッカー、様々な形のパンチ、装飾小物などが日本でも手に入るようになりましたので、楽しんでいらっしゃるかたもたくさんいらっしゃると思います。私の母も写真と一緒にその時の雑誌の切り抜きなどをスクラップして、産まれた時から十数冊のアルバムを作ってくれていました。デジタルカメラやパソコンの普及によって、アルバムを作る機会もすっかり減っているとはいえ、こうした手仕事の楽しさはきっとずっと残っていくものでしょう。
アルバムと言えば、19世紀半ば、肖像写真を撮り、名刺サイズのカードに貼り付ける「カルト・ド・ヴィジット」というものがフランスを発祥としてヨーロッパで大流行しました。1854年、フランスの写真家アンドレ・ディスデリがそれまでは特権階級のものであった写真を、マルチレンズを用いて一枚のネガに一挙に10枚の写真を撮影する方法で特許を取得し、中産階級にも手の届くものにしたこと、そして、1859年、ナポレオン3世がイタリアへの進軍の際、ディスデリのスタジオで写真を撮り、友人達に配ったことが大流行につながる大きな要因と言われています。

ナポレオン3世
家族だけでなく、友人、知人の写真を集め、更にはロイヤルファミリー、著名な政治家、作家、芸術家、人気役者や歌手の写真を集めることが大流行したのです。ヴィクトリア女王の写真熱は有名で、周囲の人々に写真をを送らせ、数十冊のアルバムを作成していたと言われています。また、王室の肖像写真を自ら発注し、6万セットを販売したという記録が残っています。

Queen Victoria
人気役者や歌手のポートレートは、日本でも大正から昭和にかけてプロマイドとして大流行していますしよくわかるのですが、面白いのは、家族だけでなく、普通の人々の写真を集めるのが大流行したということです。そう言えば、10代でアメリカの高校に留学した時のことを思い出しましたが、学校のアルバムの為のポートレート撮影が毎年決まってあるのですが、その際に、小さいものは5センチ角から大きいものは2L版ぐらいのサイズで、数十枚~100枚単位の自分の顔写真のプリントを皆決まって注文するのです。そして裏にメッセージを書いて家族に渡したり、友達と交換したりする訳なのですが、今考えると自分の顔写真を配るなんて何て恥ずかしいことをしていたんだと赤面しますが、それが普通のことでした。きっと学校でも人気者のチアリーダーやフットボールスターの写真は大変な人気だったことでしょう。そう考えると、写真の技術の発達に合わせて変遷はありながらもカルト・ド・ヴィジットの歴史はほとんど同じような形で残っているように思います。
本人と、一緒に写った人との本来の親密さは関係がなく、収集し、それをコラージュする側の意図一つで自分の思い通りの関係性をアルバムの上に作っていくという意味においても1900年代後半に日本で大流行した「プリクラ」への熱狂もとても似通っていますよね。
1860年以降、こうして写真アルバムが作られ、客間に置かれてゲストへのもてなしのアイテムとして定着することとなります。写真は大体の場合差込式で、空いている部分には、押し花や思い出の品や絵や文字が描かれたりしていました。こうした家族のアルバムですが、家族だけでなく、冒頭の部分は、ロイヤルファミリーや聖職者や政治家の写真で占められているものも多くあったようです。これを見ることにより、その家庭の価値観や政治的観念を予め理解しておくようなものであったと考えられています。
桜道・バザー
既にたくさんの方がいらして下さっています。桜の大木が日陰を作ってくれて、とても気持ちのいい風が抜けていきます。
私もFLORALオープン前に、八重寿しさんのおいなりさんと巻き寿司のセットやら、甥っ子ちゃんの機関車トーマスやら、色々買って来ましたよ。絶好の行楽日和、バザー日和。是非お出かけ下さい。
桜道・バザー
FLORALのすぐ近く、大蔵幕府跡の美しい桜並木、通称「桜道」
桜の季節には、絵に描いたような桜色一色の桜のトンネルとなり、私達の目を楽しませてくれます。
現在は、思わず深呼吸したくなるような深い新緑、たくさんの散策の方やお客様を乗せた人力車が行き交っています。
先人達によって植えられ、長く親しまれているこの美しい桜並木は、平成17年に地域の方々が中心となり発足した「大蔵頼朝桜道の会」の活動により守られています。植樹、清掃など活動は様々ですが、中でも大切な基金集めの為でもあるバザーが、この桜道を歩行者天国にして、明日5月18日日曜日に開催されます。
明日も絶好のお出かけ日和の予報です。たくさんの楽しいものを探しに是非足をお運び下さいませ。
FLORALのお隣の素敵なおうちも「ガレージセール」開催だそうですよ。何だかとっても楽しい日曜日になりそうです。
報国寺と釜めし
「竹の寺」として有名な報国寺さん。美しい竹林の庭に踏み入れると、初夏の日差がざわざわと揺れる竹の間からこぼれてタイムスリップしたかのような不思議な感覚に包まれます。竹林は秋が美しいと言われますが、竹の子が元気に伸びている様子を見ると、生命の力強さを感じることが出来てとてもいいものです。
茅葺の鐘楼も私はあまり見たことがないので、とてもいい雰囲気です。
「報国寺は、建武元年(1334)に創建された、臨在宗・建長寺派の禅宗寺院です。開山は天岸慧広(仏乗禅師)、開基は足利家時(足利尊氏の祖父)です。
本尊は釈迦如来坐像(市指定文化財)で、仏師宅間法眼作と伝えられています。他に開山仏乗禅師像(市指定文化財)1347年作や、迦葉尊者像などを御堂に安置し、さらに、開山の著書「東帰集」(国指定重要文化財)や、開山使用の木印(国指定重要文化財)は、鎌倉国宝館に保管されています。
休耕庵という塔頭の跡に孟宗竹が生え、現在の「竹の庭」になりました。
どうぞ、心静かに、ご参拝下さい。」 報国寺 由来記 より引用
鎌倉市浄明寺2-7-4 9:00~16:00
拝観料200円 お抹茶付500円
鎌倉観音霊場第十番 鎌倉十三仏第八番 東国花の寺百ヶ寺鎌倉5番札所
鎌倉駅から八幡さまを過ぎて、金沢街道を朝比奈方面へ、フローラルを過ぎて、報国寺入口を右折 駅から徒歩約30分
バスなら浄明寺バス停下車バス約10分、徒歩3分です
参拝後のお楽しみは、すぐ近くの多可邑(たかむら)さんの釜めしです。鎌倉からバスならすぐですが、この贅沢な釜めしをいただくことを楽しみに歩いてみてはいかがでしょうか。
ドレスデンスプレイとスコーン
昨晩素敵なお菓子の先生のスコーンのお写真を拝見したら、どうにもこうにも食べたくなってしまって、朝出勤前だというのにスコーンを作ってしまいました。雑で大きさもまちまちですが。クロテッドクリームはないので、バターを塗って、ジャムもなかったので、メイプルシロップをかけて。こんなスコーンでも美味しいのは素敵な器の魔法でしょうか。上の写真のスージークーパードレスデンスプレイは私物ですが、FLORALにもございます。
母の日
今度の日曜日、5月11日は母の日です。
日頃の感謝の気持ちを込めたプレゼントはもうご用意されましたか?
小さな小さなガラスの一輪挿し、ごゆっくりとティタイムを過ごしていただく為のカップ&ソーサー、キャンドルを灯して日常の慌しさからちょっと離れられるキャンドルスタンド、小さなお菓子を乗せて幸せ気分になっていただくお皿たち・・・。色々ご用意しています。
last-minute shoppingにぜひどうぞ。
紫蘭
紫蘭(シラン)・濃いピンクのような紫が美しいラン科の花。
爽やかな風が日没と共にひんやりとした空気に変わるタイミングで、お庭のお手入れを終えたご近所の方が持って来てくださいました。それだけで、高価な花束のような存在感で、スッとそのままグリーンのガラスの花器に入れました。
グリーンのガラスの花器はこちらをご覧ください。
鎌倉文学館
風薫る5月の気持ちのよい一日でした。
GWも終わり、少し静かな鎌倉を求めて鎌倉文学館に行って来ました。
鎌倉文学館は、国登録有形文化財で旧前田公爵家別邸。鎌倉ゆかりの文学者の展示がされており、美しく保たれた建物を楽しみながら静かな時を過ごすことが出来ます。現在は、特別展「愛とブンガク」が開催中です。夏目漱石、芥川龍之介、川端康成、立原正秋らの作品を、小川洋子さん、髙木のぶ子さんら現代の女性作家が見つめなおし、作品への思いを寄せています。
そして何より気持ちが良いのは、広大な敷地に手入れされた庭園とバラ園の散策。まだ少し早かったのですが、薔薇の種類は194種、234株にも及ぶそうです。

バラ園から見る邸宅 たくさんの蕾がついていました
薔薇の見頃は5月半ばから6月下旬、もう少しですね。5月14日~6月8日まではバラまつりが開催されるそうです。美しい薔薇を楽しみ、そのままの気分でFLORALにもお寄りいただけたら嬉しいなと思いました。