2013年10月
ハロウィン
FLORALの近くにあるとても素敵なお宅。こちらには小さなお子さんがいらして、お友達を招いてハロウィンパーティがあるのだとか。事前にお母さまがいらして、子供達が来たらお菓子をあげてくれますか?とのこと。もちろん喜んで!お菓子も用意して下さいました。20人以上のお子さん達でしたでしょうか。みんな仮装して「Trick or Treat」と可愛く並んでくれました。キキに扮した女の子の可愛かったこと。
アメリカでホームステイをした14歳の時の思い出。その当時の日本にはハロウィンなんて浸透しておらず、もちろん初体験。よくわからないままにステイ先のお母さんにピンクのピエロの格好をさせられ、メイクをさせられ、さあ、ご近所のドアをたたいて「Trick or Treat」って言うのよとのお言葉。まだ英語もよく話せず、引っ込み思案だったあの頃(今もだけど)「え!?!?!こんなおかしな格好で人のお宅のドアをたたくなんて、しかもRが2つもついて発音難しいし・・・」
その時既にハイティーンだったステイ先のお姉さんは、もちろん、同行してくれる訳もなく、クラブのパーティに出かけて行きました。
ハロウィンって何だかそんな思い出。
今日はお子さん達のパーティをみて、純粋に「楽しそう!可愛い!」と思いました。そして、今思い出して反省「Trick or Treat!」って言われたら「Happy Halloween!!」って返してあげなくてはいけなかったみたい。ごめんなさい。
トリンケットセット
イギリスのアンティークを手にすると、優雅な幸福感を感じるのですが、中でもとりわけその時代に思いを馳せて空想してしまうものが、このトリンケットセットです。バニティセットとも言われますが、イギリスではトリンケットセットというのが主流のようです。
鏡台に乗せて使ったこのセット、しっかりとしたトレイにコットンやピンやリングを入れるケースに必ずペアのキャンドルスタンドがついています。まだ電灯のなかった時代、両サイドからキャンドルの明かりをあててお化粧をしたのです。
今回は、コレクターだったイギリス人のおばあちゃまがまとめて手放したいとのことで、私はそのなかからいくつか選ばさせていただきました。
そのひとつがこちらの美しいセットです。透明やピンクのガラスはよく目にするのですが、琥珀色もとても落ち着きがあって素敵です。ベッドルームの鏡台やドロワーの上に置いて、ディスプレイとしてだけでなく、ジュエリーケースとしてお使いいただいてはいかがでしょうか。
以前、透明のトリンケットセットを買ってくださったお客様のお話。なんと、食卓で常備菜入れに使っていらっしゃるのだとか。驚く私に、「ほら、錦松梅の器みたいなことよ。わかるかしら?」との事。はい、わかりますとも、錦松梅。梅干や昆布を少しずつ入れて、時にキャンドルも灯してお食事の時間を楽しんでいらっしゃると聞き、なるほどと唸ってしまいました。アンティークをご自分のものとして楽しむアイデアですね。
キーファビーズネックレス
アフリカを代表するパウダーガラスのキーファビーズ。
キーファビーズとは、西アフリカ・モーリタニアのキーファ村で、作られた再生とんぼ玉です。
“ヨーロッパのようなガラス生産の技術がない彼らは、輸入されたガラスやトレードビーズ、日用ガラス瓶や破片を粉末状に砕き再利用しました。陶器の破片、魚の缶詰、木の枝や針、アラビアガム、焚き火など非常に原始的な素材と道具が使われています。驚くべきシンプルな手法で作られているにもかかわらず、大変な忍耐力を用いて造られたこのビーズは、技術的には最も高度なアートワークと言っても過言ではありません。”Beyul HPより
1900年代前半の短い期間に作られたオールドキーファは現在では非常に入手が困難ですが、近年キーファでは、大変な労力をかけ、昔ながらの技法で伝統を守り、キーファビーズの再現をする作り手が出てきました。今回ご用意したのは、その再現キーファとアンティークのコーラルガラスをネックレスに仕立てた美しい作品です。アフリカの人々の美しいとんぼ玉への憧れとプリミティブなアフリカの美がここに凝縮されています。
実りの秋
実りの秋・ハロウィンは収穫に感謝する催しと思ってディスプレイを楽しんでいます。
山形の友人が、山形のブランド米「つや姫」の新米を送ってくれました。ふっくら、もっちりとしたつやと香りに感激。「つや姫」と言う名前は知っていたけれどいただいたのは初めてで、本当に美味しかったと伝えると「山形のお米を知っていてくれてありがとう!」とのお返事。農家に嫁いだわけでも、ご実家がお米農家さんというわけでもないけど、郷土愛ですよね。何だかとても嬉しい言葉でした。
新米の美味しさを嚙締めると日本人に生まれてよかったとつくづく思います。以前イタリアで農家を訪ねた時に、「これは3年寝かせたお米だよ」とオーナーが自慢げに教えてくれました。私達日本人にしてみると、それは古米どころか古古古米ということになる訳で、何とも返答に困ったのですが、リゾットやつけ合わせとしてのお米にはそれが合うのかもしれませんし、実際その後いただいたリゾットはそれはそれは美味しかったのですから、文化の違いは面白いものです。
また別の知人が送って下さった神奈川の「キヌヒカリ」、母が送ってくれた若狭の「ひとめぼれ」。どれも本当に美味しくて、3袋並べて実りの秋と農家のみなさんに感謝しながら日替わりでいただいています。
天高く馬肥ゆる秋。私も・・・。
Petersham Nurseries ピーターシャムナーサリー
私をこの世界に導いて下さった、自由が丘・デポー39 の故 天沼寿子さんの教えに「定点観察」ということがありました。気に入ったお店、自分が素敵だなと思うお店、そして流行っているお店があったら何年にも亘ってその変化を見続けなさいということです。
そんな場所の一つが、ロンドン中心から15キロ南西の、テムズ河畔の緑豊かな高級住宅街・Richmondにあるピーターシャムナーサリーです。厳しい買付日程の中で時間を作るのは大変ではあるのですが、ここを訪れるのはとても楽しみです。Nurseryには種苗場の意味がありますが、苗木や植物だけでなく、ガーデンファーニチャーやガーデニング用品、本、アンティーク雑貨を扱うショップに、素朴でありながらも、素晴らしく洗練されたレストラン、カフェが併設されているのです。
オーナーであるFrancesco とGael Boglione夫妻は、Richmond Houseを自宅として購入後、数年をかけて隣接する荒廃しつつあった土地も購入。始めはこのようなレストランやガーデンショップになるとは思いもしなかったとか。
農園で栽培された野菜をふんだんに使ったレストランの予約は大体1ヶ月以上先まで満席。レストランの予約がとれなかった場合でもTeahouseでも簡単なランチをいただくことが出来ます。例えばその時のメニューからは、セロリとエルサレムアーティチョークのスープ、フィッシュパイ、オニオンフリッタータ、ミートボールのポレンタ添えなど。新鮮なお野菜が目にも体にもご馳走です。
ピーターシャムナーサリーで印象的なのは、様々な種類の牡丹、ダリア、オールドローズ、そして紫陽花の美しいあしらい。土の床に温室というシンプルで自然なインテリアに鮮やかな色彩が際立ちます。
調度品はイギリスだけでなくヨーロッパ、そしてインドからも集められたアンティークです。実は最初に伺ったときには、興奮で気付かなかったのですが、レストランで使われているテーブルや椅子、棚に至るまで、ほとんど全てのものにお値段がついており、販売されています。ロンドンも日本同様住宅事情は厳しく、庭付きの戸建ては憧れの存在。ガーデニングをする方はもちろん、集合住宅でも参考になる鉢植えのディスプレイの仕方やグリーンの取り込み方など私達の参考になることがいっぱいです。また、アンティークファーニチャーも小振りなものが多く、美しい暮らしのヒントが溢れているのです。
アンティークフェアやモールでは、たくさんの「もの達」が洪水のようにどっと目に入ってくるのですが、そこからとっておきの「一つ」を探し出すには、修行とセンスが必要だと実感させられます。そんなパワーチャージの為にも毎回立ち寄りたい大切な場所の一つになっています。
皆様も機会があれば是非いらしてみてください。
Petersham Nurseries
Church Lane, Off Petersham Road, Richmond, Surrey TW10 7AG
イギリス買付けの旅のこと
お客様とのお話の中で必ず出るのがイギリスでの買付けの旅のお話です。
ロンドンを早朝に出発し、車で北に約4時間。ヨーロッパ最大のアンティークフェアの日程に合わせてスケジュールを組みます。ビクトリアン、エドワーディアンあるいはそれ以前のアンティークからヴィンテージ、コレクタブル、ジャンクなものまで、ほとんどの家具、銀器、陶器、雑貨に会うことが出来るのではないでしょうか。
フェアは初日に先手必勝。初日はロンドンや各国のバイヤーが多く、広大な敷地内を効率よく周らなければお目当てのものに出会うことは出来ないので、オープン前から門の前には長蛇の列です。お昼を過ぎる頃には、「Sold」の札が貼られた商品が並び、午後からは購入済みの商品を運び出すトラックで会場内は渋滞になるのです。
2日目以降は少しのんびり、じっくりと。ご夫婦や家族連れなど一般の方も楽しそうにお買い物をする姿を見ることが出来ます。アンティークが本当に生活に根付いているのだなぁと感じます。会場周辺にもアンティークショップやアンティークモール、倉庫が点在していますので、会期終了後はそちらをまわります。なじみの店主さん達とお話をしたり、情報交換をしたり、色々教えていただくことが出来る貴重な時間です。